世界のリーダーの心遣い サッチャー元英首相との思い出
マーガレット・サッチャー元英国首相が亡くなられました。
「鉄の女」と呼ばれ、英国経済の再生に手腕を発揮、東西冷静時代に国際政治の舞台で強い姿勢を貫いた当時のことは、伝え聞くのみですが、後年、日本を訪れた際に、直にお会いし、人柄に触れさせていただき、その時の印象は今も強く心に刻まれています。
30代前半、来日されたサッチャー氏の受け入れスタッフの一人として、滞在時のお手伝いをさせていただきました。
訪問先での力強い言葉には、圧倒されましたが、感動したのは、旅立たれる際のこと。
空港の貴賓室で、出発時間が迫ったころ、「皆さん、ありがとう。記念に写真を撮りましょう」と周囲のスタッフに声をかけられました。
全員で記念写真を撮るのかと思って、メンバーが並ぼうとすると、「いいえ、お一人ずつ撮りましょう。いかがですか」と指示されました。
緊張したスタッフが、尻込みしていると、「さぁ、どうぞ」と促して、カメラの前に順番に並ばせたのです。
当時、一番若手だった当方にも声をかけていただき、緊張の表情で納まったのが、この写真です。
世界のリーダーであり、恐らくお疲れであっただろう旅程の中、スタッフ一人ひとりにまで、気を使い、心配りされる姿には、深く感動しました。
ご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申しあげますとともに、心からご冥福をお祈りいたします。