珈琲が呼ぶ
学生時代に読みふけった赤い背表紙の文庫本。
青春だった片岡義男氏の作品。
風を感じたくてバイクに乗り始めたのも彼の作品を読んだから。
山奥にある風呂で、長い髪の素敵な女性と出逢えると思ってツーリングにも出かけたな。
大人になって、「コンバーチブル」の車の助手席に女性を乗せて走るんだと思っていたのですが
いつしか、登場人物よりも年齢を重ねて、作品を手にする機会も減っていきます。
「ホテルの部屋にチェックインすると、ベッドサイドの電話が鳴った」とか、「待ち合わせ場所の駅に彼は来なかった」とか。
携帯電話がまだない時代の大人のロマンティックでした。
コンビニは都会にしかなく、一杯100円のコーヒーも登場せず、コーヒーチェーン店もなかった時代。
コーヒーは粋な大人の、おしゃれでちょっと切ない飲み物だった時代です。