「帝国ホテルの不思議」(村松友視氏著)。
昨年読んだ本のうち、心に残る一冊です。
「おもてなし」「プロフェッショナル」ということを考える時に何度か読み返します。
「帝国ホテル」といえば、日本人の誰もが知っている老舗ホテル。日本における「ホテル」の伝統や権威、品格の象徴というのは大げさか。
年に1、2回足を運ぶ程度ですが、あの空気感は、外資系ホテルにはありません。
そこには日本人の手によって洗練されたサービスやデザインが詰まっているように思える。
クールでスマートな欧米風のおもてなしとはひと味違う、日本式の温かみというものがそこはかとなく感じられます。
「バイキング料理」の発祥となったレストランにも足を運びました。皇居や日比谷周辺を見渡す風景と相まって何だか優雅な気持ちにさせてくれます。
著者村松友視氏の手によって、ジャーナリスティックではない切り口で、ホテル内のさまざまなポジションで働く人たちの仕事への思いやこだわり、生き方が、ていねいに描かれていく。
ラウンジの時の流れを思い起こすと、また足を運びたくなりました。